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りょうなんブログ

生命で感じる自然

寒い日が増えてきました。

今朝、家を出た時に吐く息が白いことで唐突に冬を感じた私です。

 

 

 

また、そのことで生物学者である福岡伸一さんのエッセイ集『ゆく川の流れは、動的平衡』という本(https://amzn.asia/d/1XyKB04)を読んだことを思い出しました。

その一節に感銘を受けたので、紹介させてください。

 

子どもの育ちにとってもっとも大切なものはなんだろう。それは早々と九九が言えたり、英語がしゃべれたりすることではないはずだ。知ることよりもまず感じること。そう言ったのは、卓越した先見性をもって環境問題に警鐘を鳴らした生物学者レイチェル・カーソンである。彼女は「センス・オブ・ワンダー」という言葉を使った。驚きを感じる心、とでも訳せようか。何に対する驚きか。それは自然の精妙さ、繊細さ、あるいは美しさに対してである。

 自然とは、アマゾンやアフリカのような大自然である必要は全然ないと思う。ほんの小自然でよい。近くの公園や水辺? いや、コンクリートに囲まれ、空調のきいた部屋に住み、電脳世界に支配される私たちにとって、もっとも身近な自然とは、自分自身の生命にほかならない。私たちはふいに生まれ、いつか必ず死ぬ。病を得れば臥し、切れば血を流す。これこそが自然だ。そして私の生命はいつもまわりの自然と直接的につながっている。

 心臓の鼓動がセミしぐれの声に、吐いた白い息が冷たい空気の中に、あふれた涙がにじんだ夕日に溶けていくことを感じる心がセンス・オブ・ワンダーである。それは大人になってもその人を支えつづける。

(「命の美しさ、感じる心こそ」P.114)

 

 

子どもにとって山や川、木々や草花といった「自然」が重要であることは今更言うまでもないことかもしれません。

ただ、福岡さんが言うように、我々人間が感じることのできる最小単位の自然は、「自分自身の生命」であり、その生命は「いつもまわりの自然と直接的につながっている」ということがとても大切だな、と思います。

 

自分の生命を通して感じる自然、子どもたちにも存分に味わってもらいたいな、と思います。