表現とは何か
先だって行われた発表会では、多くの保護者の皆様にご参加いただきまして、ありがとうございました。
舞台袖で照明と幕の操作を任されながら、小窓から覗く子どもたちは、
ちょっぴり緊張していたり、これから本番だよね?と思わず疑うほど落ち着かなかったり、
はたまた子どもとは思えないほどの集中力やまったく緊張を見せない肝の据わった姿を見せてくれたり。
当日はいろんなドラマがあり、だからこそ面白い(まあ、大人はヒヤヒヤしたりドキドキしたりするのですが…)のだと思います。
当園の発表会ですが、一連の取り組みを始めるにあたり、
先生たちにお願いしていたのは以下のようなことです。
1.自分らしくのびのびと表現する楽しさを味わえること
・その子らしい表現の在り方を尊重すること
表現は「みんなと一緒に同じ劇やダンスができる」ということだけでなく、身体活動、造形活動、気持ちを言葉にすることなど様々な形があります。保育者が子どもの可能性を狭めてしまわないようにしましょう。
・生活と行事のつながりを意識すること
運動会同様、子どもたちの生活や遊びと地続きになって発表会があります。子どもたちのこれまでの育ちや人間関係、遊びが滲み出てくるような発表会を目指しましょう。
2.友達の良さや一緒にいることの楽しさを味わいながら、共通の目的に向けて力を合わせること
・友達の存在を感じられること
クラス全員で行なう表現活動を通して、友達の得意なことや良さに気がつけるように、そしてそれをお互いに認め合えるような場を意識して作っていきましょう。そういった気持ちの積み重ねによってクラスとしてのつながりを学年なりに感じてもらいたいです。
・子どもが作る発表会を目指すこと
先生が頑張る、見栄えを整える、遅くまで残って衣装や小道具の直しをひたすらする・・・という発表会よりも、子どもと一緒に考えて、作って、準備していく発表会を目指しましょう。そのためには、しっかりと子どもの声に耳を傾けることが必要です。
このことを先生たちは意識しながら当日まで歩んでくれていました。
だからこそ、セリフが出てこないときに先生ではなく友達が助けてくれたり、子どもの手が加わった不格好ながらも味のあるアイテムが登場したり、一人で舞台に立つナレーター役がいたり、舞台を降りて飛び回る蝶がいてもOKだったりしたのだと思います。
幼稚園教育要領の中には、「表現」という領域があり、そのねらいは次のように書かれています。
感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。(幼稚園教育要領 第2章ねらい及び内容)
この「自分なりの表現」がとても大切ですね。
「犬はそんなふうに鳴かないでしょ」「歌をうたう時は大きな口をあけて遠くを見なさい!」
「立ち位置が全然違うでしょ!」「もっと大きく!」「もっときれいに!」「もっと!」
と、誰かに言われたところで「その子なりの表現」は生まれません。
さらに、要領の表現の「内容の取扱い」にはこんなことも書かれています。
幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
このように、子どもの表現は「素朴な形で行われることが多い」という点も特徴です。
大人が「劇や歌」と聞いて想像するような派手さ、見事さではなく(そういうものを否定しているわけではないですよ)
目を凝らして、耳を澄ませて、心を寄せることで見えてくるちょっとしたところに子どもの表現があるのだと思います。そういうことを大事にしたい発表会でした。
今週、来週くらいは発表会の余韻が園内を漂ってくることでしょう。
それもまた楽しみの一つです。
